内容の補足 (より深い理解のために)
15 骨粗鬆症
2 既に骨粗鬆症がある人での骨折予防のための運動
既に骨粗鬆症のある人は、「運動中に骨折しないか?」と心配される方もあると思います。確かに骨粗鬆症のない人に比べると、注意は必要ですが、「運動をすること」のメリットは、危険性より大きいと考えられていますので、以下のことに注意をしながら、ぜひ運動を続けて下さい。
具体的なことは、整形外科の主治医、あるいは理学療法士の方に、ご自分にあった方法を相談されるのが良いと思いますので、基本的なことだけを記しておきます。
運動中に骨折するのは、例外的な少数例を除いて、「転倒による骨折」 か 「脊椎骨の圧迫骨折」です。
---まず、転倒しないように注意
元々足腰が弱くて転倒しやすい人、これからしようとする運動で転倒の可能性がありそうな人は、下半身の最低限の筋力をつけることと、バランスのための運動をまず行って、「転倒しない!」というある程度の自信がついてから、次の運動へ進むようにして下さい。
---脊椎骨の圧迫骨折に対する注意
強い前屈(背中を前へ曲げること) は脊椎骨へ過度な負荷がかかってしまい、圧迫骨折が起こりやすくなりますので、注意して下さい。物を持ち上げるに際して前かがみになる時は、背中を丸めるのではなく、背筋を伸ばしたまま、股関節と膝を曲げて、下にあるものを持ち上げて下さい。
前かがみの姿勢というのは、転倒もしやすい姿勢なので、普段から、背筋を伸ばす、背筋を鍛える。というのはとてもよいことです。
---これまでに、脊椎骨の圧迫骨折や脆弱性骨折(小さな外傷だのに骨折) をおこしたことがない人
通常の筋トレに加えて、骨に最も良いと言われている、ジョギング・ジャンプ等、骨に衝撃の加わる運動をしてもリスクは大きくはないようですが、脊椎骨の圧迫骨折がおこってはいけないので、整形外科の主治医と相談した上で行って下さい。また、やる場合には、最初から強い運動をするのでなく、徐々に強度を増すようにして下さい。
---これまでに、脊椎骨の圧迫骨折や脆弱性骨折をおこしたことのある人
ジョギング・ジャンプ等は行わず、速歩くらいに止めておいた方が無難です。速歩は、ジャンプほどではないですが、足底にある程度の衝撃が加わるので、ジャンプに準じた運動になるようです。ただし、速歩に慣れていない人は、転倒してはいけませんので、これも徐々に「速歩」に近づけて下さい。
速歩は、骨だけでなく、全身的にも、とてもよい運動です。健康な人の運動量の目標は、世界標準で、「週に 150分以上」です。できればこの運動量を目標にして下さい。
---転倒予防のために
転倒予防のために「筋力トレーニング」と「バランス運動」をして下さい。必ずしもこれらの両方を含んでいるわけではありませんが、有名なものの中では、太極拳・ダンス・ヨガ・ピラティス 等が挙げられています。その他、「バランス運動」等とネット検索をすると、いろいろな運動動画がでてきますので、ご自分にあったものを選んで下さい。
なお、よく転倒されている人は、専門の人の指導の下で行うのがよいと思います。
以上の説明は、主に イギリスのガイドラインの1つを土台にしています。[1]
[1] Brooke-Wavell K (イギリス)
Strong, steady and straight: UK consensus statement on physical activity and exercise for osteoporosis
Br J Sports Med. 2022 May 16;56(15):837-846