健康への医学

内容の補足 (より深い理解のために)

13 肥満

1 若い女性のやせ

やせに伴う、無月経と骨粗鬆症についてご説明します。

----月経異常・不妊 [1]
右図は米国の看護師を対象としたコホート研究の結果です。[2]
    (コホート研究: 集団を長期的に観察する研究)
6年間に、妊娠または不妊の報告があった 20,417人について
のデータを元に、BMI と 排卵障害性不妊のリスク の関係を
図示したものです。
横軸は BMI
縦軸は 排卵障害性不妊のリスクです。
    BMI 21 の人の排卵障害性不妊のリスクを "1" とした
    場合に、他の BMI の人のリスクがどれくらいかを示
    しています。
この図では、排卵障害性不妊になるリスクは BMI 20.0~24.0
で最も低く、それより高くても、低くても、リスクが増大
しています。


----骨粗鬆症 [3]
 右図は女性の骨量の「年齢による変化」を示すイメージ図です。
骨量は、胎児期・幼小児期・思春期と上昇を続け、20歳位で最高となり、
以後、ゆっくりと低下し、閉経後は急速に低下します。
このカーブは、女性ホルモンの一種 "エストロゲン" の変化と
よく一致しています。
エストロゲンは、骨の強化・維持に非常に重要なホルモンで、
閉経後に骨量が低下するのは、このエストロゲンが低下するためです。
 また、第15章 骨粗鬆症にあるように、骨がしっかりするためには、
体重が軽いことは大きな妨げになります。

まとめると、やせが骨粗鬆症をきたしやすいのは、2つの大きな原因によります。
 (1) やせによる、女性ホルモンの一種 "エストロゲン" の低下
 (2) 体重の少ないこと自体が骨粗鬆症の原因となる

 上のグラフのように、20歳頃をピークに年齢と共に骨量は低下し始めますので、骨量が増加を続ける若い時期に、骨量をできるだけ高くしておくことは極めて有益なことです。



参考文献
[1] 寺内公一
   女性の低体重/低栄養 -産婦人科における課題
   臨床栄養「女性の低体重 / 低栄養症候群 とは何か?」 2025 Sep vol.47(3), p311-315
[2] Rich-Edwards JW
   Physical activity, body mass index, and ovulatory disorder infertility
   Epidemiology. 2002 Mar;13(2):184-90
[3] 野瀬さやか
   女性の低体重/低栄養と骨粗鬆症
   臨床栄養「女性の低体重 / 低栄養症候群 とは何か?」 2025 Sep vol.47(3), p306-310