健康への医学

内容の補足 (より深い理解のために)

5 ビタミン

3 高齢者とビタミンD

 「高齢者がビタミンD不足になりやすい」というのはまちがいありません。
なぜそうなるかというと

(1) 外出が少ない
(2) 皮膚での産生能が弱い
(3) ビタミンDの摂取量が少ない

と、説明されています。

ある研究をご紹介します。[1] (右図)
イギリスに住む 65歳以上の人のデータです。

高齢者施設に入居している人 178人と、
入居していない人 586人を、別々に集計
しています。
横軸-ビタミンDの摂取量

4日間の食事の聞き取り調査から
1日あたりのビタミンD摂取量を
計算したものです。

縦軸-25(OH)D の血中濃度

ビタミンDの充足度を意味します

25(OH)D の血中濃度は、季節変動があり
ますので、季節ごとに集計されています。
 (原著にあった "秋" は省略しました)


この図からわかることは

・ビタミンDの摂取量が多い人は、25(OH)D が高い
・施設に入居していない人は、入居している人比べて、25(OH)D が高い
・季節変動については

施設入居者では、変動が少ない
施設非入居者では、夏に 25(OH)D が高くなる

・25(OH)D が最も高い「施設非入居者の夏」でも、ビタミンDは不足している


 高齢者では、ちょっとした外傷で骨折がよくおこります。(参照→ 第15章 骨粗鬆症)
これは (1) 骨が弱くなること(骨粗鬆症)、(2) 筋力低下とバランスの悪化のために転倒しやすくなること、が原因です。そして、これらの状態全てにビタミンDに何がしらの効果がありそうです。
それなら、高齢者はビタミンDとカルシウムをサプリとして服用することによって骨折を予防することができるか? 残念ながら、現在までの研究データから「効果が明らかに期待できる」とまでは言えません。[2,3] しかし、多くの研究からは、少なくとも施設に入所しておられる高齢者の場合は、サプリの服用がよさそうです。


(参考文献)
[1] Bates CJ

In a population study, can parathyroid hormone aid the definition of adequate vitamin D status? A study of people aged 65 years and over from the British National Diet and Nutrition Survey
Osteoporos Int (2003) 14(2): 152–159

[2] NIH

Health Information - Vitamin D : Fact Sheet for Health Professionals
https://ods.od.nih.gov/factsheets/VitaminD-HealthProfessional/

[3] Bouillon R

Skeletal and extraskeletal actions of vitamin D: current evidence and outstanding questions
Endocr Rev 2019;40(4):1109–51