内容の補足 (より深い理解のために)
5 ビタミン
2 乳児期のビタミンD
乳幼児のビタミンD不足は、クル病の他、低カルシウム血症とそれによるけいれんの原因になることもあります。ビタミンD不足になりやすい乳児期を、そのようにならないようにしましょう。
2025年に、日本小児医療保健協議会栄養委員会から「乳児期のビタミンD 欠乏の予防に関する提言」[1] が示されましたので、これを参考にまとめさせていただきました。
乳児期にビタミンD不足にならないようにするための工夫~注意点をいくつかお示しします。
(1) お母さんご自身がビタミンD不足にならないようにする。
本文で、「母乳中にはビタミンDが少ない」と記しましたが、お母さん自身がビタミンD不足だと妊娠中にお母さんから赤ちゃんに渡されるビタミンDはさらに少なくなりますし[1]、母乳中のビタミンDも低くなります[2,3]。
実際に、日本の研究ですが、妊婦さんは、妊娠期間中を通じてビタミンD不足が強いようです[4]。
話は少しそれますが、女性に限らず、小児期~青年期にビタミンD不足にならないようにすることは、将来の骨粗鬆症の予防にもつながり、とても良いことです。(→第15章 骨粗鬆症)
(3) 離乳食の開始は遅らせない。
日本人の乳児期のビタミンDのお勧め摂取量は1日あたり 5μgとされていますが[5]、魚の鮭(サケ) 15g には、ビタミンDが 5μg含まれています。また卵1個分の黄身には、Mサイズで 2.1μg, LLサイズで 2.5μg のビタミンDが含まれていて、Mサイズでも母乳 700~1000mL あるいはそれ以上に匹敵するかも知れません。
(4) ビタミンDだけでなく、カルシウムも不足しないようにする。(5) 食事・生活で、上記のようなことができない場合は、ビタミンDの乳児用サプリを服用する。
例えば
・気象的条件 (高緯度地方に住んでいる、冬季)
・ベジタリアン~ビーガン (魚や卵を食べない、食べさせたくない)
・日光を極力避けなければいけない疾患
等々
サプリでのビタミンD服用量は、日本でのお勧め(食事摂取基準)の 5μg/日でもよいかもしれませんが、10μg/日が世界標準のようです[1]。
なお、本文にも記しましたが、過量による副作用もありますので、そうならないように注意して下さい。
※「母乳をやめてミルクにかえる」のはどうか?
母乳中には免疫にかかわるいろいろな物質が含まれますので、母乳を続けながら、必要そうなら「ビタミンDサプリを服用する」のが良いと思います。
※「人工栄養(ミルク)だから、ビタミンD欠乏にならない」ということはまでは言えませんので、人工栄養の場合も注意をして下さい。
<参考文献>
[1] 川井正信(日本小児医療保健協議会栄養委員会)
乳児期のビタミンD 欠乏の予防に関する提言
日本小児科学会雑誌 129巻3号 494~496 (2025年)
Maternal serum and breast milk vitamin D levels: findings from the Universiti Sains Malaysia Pregnancy Cohort Study
PLoS One. 2014 Jul 3;9(7):e100705
Vitamin D activity of breast milk in women randomly assigned to vitamin D3 supplementation during pregnancy
Am J Clin Nutr 2016;103:382–8
25-Hydroxyvitamin D profiles and maternal bone mass during pregnancy and lactation in Japanese women
J Bone Miner Metab. 2020 Jan;38(1):99-108
「日本人の食事摂取基準(2025年版)」のうち、脂溶性ビタミンのページ
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316466.pdf